金明水は湧き水か?
▼お詫び
この稿は富士講アーカイブ・講堂の記念すべき第一講として、「様子見の小ネタ」だったのですが、分量が増えすぎたのと中身が複雑になってきたのとで、紙媒体の論文として書き直すことにしました。雑誌に発表するのであれば、一般的に未発表が原則ですので内容を書ききらないうちに削除しなければなりません。
というわけで、第一講はしょっぱなから欠番とさせていただきますm(_ _)m。
ただ、要旨を書くくらいなら構わないでしょうから、それを以下に書きます。
富士山頂の金明水は不思議な井戸として有名だが、中世からの記録を見出すことができず、実は山吉講によって造られた人工物である可能性が非常に高い。水理学的に見ても海抜3600m以上の富士山頂から自然に水が湧くとは考えられない。しかし山吉講を初めとする富士講はこの「井戸水」の霊性を強調することで富士講を普及させる手段とし、吉田の御師はこの水をお身抜という特殊な祭具の付加価値として用いることで本業外の収入を得ていた。渋谷にあった山吉講の元講はもはや無いが、江東区砂町の枝講が「丸す御水講」として現在も残っているようだ。ただし、彼らが「御水」と冠するようになったのはどうやら近代に入ってからと思われる。
というわけで、パワーアップさせた本稿をどこかでお目にかけたいと思います。下の写真は現在も富士山頂で販売されている金明水です。もう今から7年くらい前のものなのでちょっと開けるに開けられません(^_^;)。