富士講研究における『あしなか』の使い方(本表編)

▼リスト凡例

 前講からの続きである。山村民俗の会の会誌『あしなか』から富士講研究に役立ちそうな文章のリストを掲げる。

 以下のリストは富士講関連の記事を本文タイトルから採取したものである。一部直接関係ない記事もあるが、富士山・富士講に遠くても関係しそうなものを挙げているからである。目次タイトルと本文タイトルが異なっている場合は本文のものを採用した。また、78輯の伊藤堅吉のもののように文章として独立する最小のものを採用した場合がある。また、例えば69輯は「富士特輯」であるが、輯ごとの特集タイトルは無視して、文章としての最小単位としてのみを採用した。
 タイトル中「富」と「冨」が混在していたが、検索の便を考えて「富」に統一した。また「祿」も「禄」に統一した。旧字体を新字体にした個所もある。下のテーブル形式がご不満な向きはAccessやExcelにインポートするも良かろう(それにしてはデータが少なすぎるが)。タイトル中の「[]」は大谷が便宜的に説明のために付したものである。
 「輯」があしなかの単行単位、「冊」が復刻版のナンバーである。161輯以後は『あしなか』から直接採取しているため、「―」とした。「k」を付したものは複刻版第九冊に収録されている会報のものである。著者については原文の表記通りにした。また、不明の場合は推測した上で「?」を付したがもっぱら岩科が編集者として書くときの他に例はない。
 収録漏れなどあればご指摘くだされば幸いである。特に161輯以降採取したものには細かいニュースなどを漏らした可能性がある。また、図書紹介は網羅し切れなかったので収録しなかった。たまに私も持っていないような珍しい文献の紹介があるので、次の機会には考えるかもしれない。

Update! 『あしなか』第259,260輯の内容が判明したため追記する(2002/01/23)。
Update! 『あしなか』第261,262輯の内容が判明したため追記する(2003/04/08)。
Update! 『あしなか』第268輯の内容が判明したため追記する(2005/04/23)。
Update! データにその輯の出版年を追加した。(2005/05/28)。

▼リスト本編

西暦タイトル著者
1951252目黒富士岩科小一郎
1952332富士の残雪岩科小一郎
1952332富士乃火祭り岩科小一郎
1953342浅間神社小考森田武雄
1953362富士講の登山岩科小一郎
1953382高田富士の考古学的考察別所光一
1953382高田富士岩科小一郎
1954392身禄入定岩科小一郎
1955483伊勢富士の浅間さん芦田潔
1956533血止めの法岩科小一郎
1956543大山街道富士街道岩科小一郎
1958614清瀬富士日記岩科小一郎
1959634富士講秘巻岩科小一郎
1960674富士講の紋章岩科小一郎
1960694富士物価小史-附役銭のこと-伊藤堅吉
1960694日の御秘伝岩科小一郎
1960694食行身禄のお先状伊藤堅吉
1960694富士祭の麦藁蛇岩科小一郎
1961724四百二十数年前の富士人穴探検秘録伊藤堅吉
1961744新倉付近の富士塚園尾哲郎
1962774[無題のコラム・大山と富士山信仰の違い]岩科小一郎
1962784三十一日の断食入定伊藤堅吉
1962784三十一日之巻の伝承伊藤堅吉
1962784身禄の断食登山伊藤堅吉
1962784田辺十郎右衛門豊矩伊藤堅吉
1962784身禄のミイラ伊藤堅吉
1962784身禄入定の餞別伊藤堅吉
1962784身禄の登山行衣伊藤堅吉
1962784身禄入定の雪茶碗伊藤堅吉
1962784身禄の道中団扇伊藤堅吉
1962784身禄講談の槌伊藤堅吉
1962784身禄殿伊藤堅吉
1962784身禄十三回忌伊藤堅吉
1962784一刀三拝の身禄像伊藤堅吉
1962784身禄御影伊藤堅吉
1962784身禄彫像伊藤堅吉
1962784富士身禄曼陀羅伊藤堅吉
1962784身禄の遺墨伊藤堅吉
1962784三扁お書の御大幅伊藤堅吉
1962784一字不説之巻伊藤堅吉
1962784女人登拝由緒之巻伊藤堅吉
1962784女人登拝解禁高札伊藤堅吉
1962784富士講の御詠歌伊藤堅吉
1962784御伝伊藤堅吉
1962784富士講豆辞典伊藤堅吉
1962784富士御詠歌岩科小一郎?
1962784原典三十一日之巻伊藤堅吉 校訂
1962784編輯室から[三十一日の巻へのコメント]岩科小一郎
1962804富士講の庚申伊藤堅吉
1962804富士研ニュース岩科小一郎
1963845富士講の巻物戸倉英太郎
1963845富士講研遠足報告岩科小一郎?
1963845わが家の身禄像仁村重治
1963855富士研だより岩科小一郎?
1963875三浦富士大谷忠雄
1963875富士研報告岩科小一郎?
1964885富士の巻狩り遠藤秀男
1965955富士講元祖伝 大行の巻解題伊藤堅吉
1965955大行の巻伊藤堅吉 校訂
1965965富士山の絵の鏡斐太山人(岩科小一郎)
1966995富士講開祖 角行メモ岩科小一郎
19671036富士山道中日記岩科小一郎
19671046尾張富士石上げ祭り稿不明
19671066尾張富士だより鈴木克英
19681096村山法印の富士峰修行遠藤秀男
19681126富士山宝永噴火日記竹折直吉 報
19691166富士登山の文献遠藤秀男
19691176浅草木造富士始末岩科小一郎
19691176富嶽紀行遠藤秀男
19711287[表紙・浄蓮院の富士山御影]岩科小一郎 (解説)
19711287導者の撒き銭岩科小一郎
19711287江ケ崎様伝奇大谷忠雄
19711287身禄遺文岩科小一郎
19711287身禄直伝の同行に相渡す書岩科小一郎
19711307富士山薬師嶽小屋紛失物控帳岩科小一郎
19751458[表紙・船津胎内の御影]岩科小一郎 (解説)
19751478[表紙・庚申御縁年のお札]岩科小一郎 (解説)
19751488東京の富士塚岩科小一郎 編
19751488富士山遥拝所道之記岩科小一郎
19771568富士山の絵札岩科小一郎 編
19781608富士御縁年の庚申掛軸と庚申塔小花波平六
1979163富士講系図の諸相岡田博
1979163永井照行文書をめぐる推理宮部栄喜斉
1979163月旺居士公事之巻 写岩科小一郎
1979163異国人富士登山詫証文の巻小野洸
1979163富士講研究会総会岩科小一郎
1979163照行開山文書について岩科小一郎?
1983180富士山のむづかしい神伊藤堅吉
1985190[表紙・御師?の富士山御影]岩科小一郎 (解説)
1985190富士講抗争史の一段面-村上光清と田辺十郎右ヱ門の場合-[191に正誤あり]遠藤秀男
1985190東群馬の富士講厚川小一
1985190『富士山道知留辺』の校閲者園尾哲郎
1985190十条富士塚聞き書小川博
1985190丸星講七浅間随行記宮崎茂夫
1985190仙元様のお怒り岡田博
1985190清瀬富士の「火の花祭り」平野榮次
1985190善応空胎惟阿上人小川一成
1985194[表紙・村山浅間の不動御影]岩科小一郎 (解説)
1985194富士山烏帽子岩出土掛仏移送記岡田博
1985194富士山頂より出土の掛仏について遠藤秀男
1985194富士講のお芝居岩科小一郎
1987200富士山出土の懸佛銘について沖本博
1987203奈良県における富士信仰碑仲芳人
1990206,207[表紙・富士山出現の図]小野洸 (解説)
1993232「富士永田講」資料について牛島史彦
1993232奈良県における富士信仰碑 II仲芳人
1996247富士山の女人解禁考岡田博
1996247一行お花と参行六王-松下家蔵・一行此花書状について-宮崎ふみ子
1996247安房の富士行者・栄行真山小伝-富士登拝百八度の行者の話-沖本 博
1996247丸不二講と富士塚平野榮次
1996247私の家の富士講小川博
1996247丸宝講と斎藤家文書-埼玉県庄和町の大先達-園尾哲郎
1996247埼玉北部 寄居町の富士信仰-『外八海開人性名道案内』を読み解く-中嶋信彰
1996247江戸川区富士塚を歩く宮崎茂夫
1996247富士山絵地図小考末広昌雄
1996247千葉県安房地方の富士講山本志乃
1996247奥武藏の富士巡り岡倉捷郎
1998250富士講の登山[36輯からの再掲]岩科小一郎
1999253富士の残雪[33輯からの再掲]岩科小一郎
2001259,260[表紙・木花咲耶姫の画]沖本博 (解説)
2001259,260富士信仰の今昔[『大法輪』昭和60年10月輯からの転載]岩科小一郎
2001259,260安房国浅間宮百八番-富士講先達・栄行真山の信仰世界-山本志乃
2001259,260伊勢地方の浅間信仰倉田正邦
2001259,260二つの浅間山小泉共司
2001259,260芝生浅間と富士講集団-横浜市・鶴見川南部の富士講聞書-[相模民俗学学会報『民俗』No.44,45からの転載]大谷忠雄
2001259,260富士を拝む塚[相模民俗学学会報『会報』No.29からの転載]安西勝
2001259,260新宿区内の富士講聞書小川博
2001259,260遠野郷の富士山碑-東北を巡る(1)-杉崎満寿雄
2001259,260木花咲耶姫をめぐって沖本博
2001259,260「日神之尊像」考竹谷靱負
2001259,260〈史料翻刻〉「烏帽子岩大願成就八海修行」-もう一つの女人登山-中嶋信彰
2001259,260清瀬富士塚の火の花祭り佐藤磧男
2001259,260奥武蔵の仙元宮-飯能市畑井の富士講先達-岡倉捷郎
2001259,260〈コラム〉姉妹富士[末尾に「(『伊豆むかし話集』より)」。無断転載?][不明]
2002261岩科"御大"と富士講研究会大谷忠雄
2002262奥武蔵の富士山信仰-飯能市畑井の富士講先達・続篇-岡倉捷郎
2004268山村の俗修験-飯能市畑井の富士講先達・続々篇-岡倉捷郎
1949k129嶽塔宮崎茂夫
1949k129奥多摩の不二(遺稿)宮内敏雄
1949k129比企の仙元丘陵神山弘
1950k169富士余録豊山生(岩科小一郎?)
1952k279宮下古文書と浅間神社森田武雄
1954k319さんげ・さんげ岩科小一郎

終わりに

 以上が現時点でのリストである。一目してわかるように、『あしなか』は富士講の研究に有益な内容を多く含んでいる。『あしなか』自体は今後も刊行され続けるので、しばらくしたらまた同様のリストを作ることになるだろう。ただ、それがこのリストに上書きするか、それとも新たに作り直すかはまだ考えていない。このリストが角行系宗教や富士講研究に携わる、特に山村民俗の会会員でない人たちに裨益されれば幸いである。

(今講と前講に限り敬称略)